物質・材料科学シリーズ
2011年1月18日 09:48
はじめまして。ボクは京都大学の北川進教授によって開発された「多孔性物質」です。
ボクのからだはナノサイズの細かな孔(あな)が非常にたくさんあいているんだ。ボクは、人や地球にとって有害ないろいろなガスをつかまえ、空気中から取り除くことができるんだよ!
今までは、有毒なガスを除去するために、古くから「ゼオライト(沸石)」や「活性炭」などの 材料が使われてきたけど、人や地球環境のためにはこれらより便利でよりわずかなガスにも 反応し取り除くことのできる材料の開発が必要だったんだよね?
そこで開発されたのがボクです。
ボクに相性のよい紫外光をあてることによって、ボクの中に「ナイトレン」とよばれるとても反応性のよい物質をたくさん作りだすことができるんだ。
この「ナイトレン」が有害なガスを効率よくつかまえて分解するんだ。
「ナイトレン」って観察するのがむずかしかったはずでしょ?本当なの?
そこでスプリング8(エイト)の出番だよ!
スプリング8の光を使ってガスの中で紫外光をあてるとどうなるのか見てみたんだ。
すると、「ナイトレン」が細孔表面にきれいに並んでいることがわかったんだね。
「ナイトレン」がきれいに並んでいるから効率よくガス分子をつかまえて反応し、ごくわずかな有毒ガスでもつかまえ分解することができると考えられるんだ。
この研究で開発されたボクをいろいろなところに利用すると、空気中から低濃度の毒性ガス・環境汚染ガスも取り除くことができるようになり、人々の健康と地球環境の改善に役立つものと期待されているんだ。
みなさんの身の回りにボクがいっぱい登場する日をまっててね!
物質・材料科学シリーズ
2011年1月18日 09:48